今日は12月24日……言わずと知れたクリスマスイヴ。恋人たちがラヴラヴな一晩を過ごす日だ。 今までは蚊帳の外、とばかりにそんな世間を指をくわえて見ているしかなかった僕・守崎雄太だけど、今年はちがう。 僕にはルリ姉がいる。 姉弟っていう垣根を越えて、お互いの気持ちを確かめあった大好きなひとが。 『今年こそは僕だって、世間のどんなカップルにも負けないぐらいルリ姉とあんな事やこんな事をして思いっきりラヴラヴに過ごしてやる!』 ……そう心に誓っていたんだけど。 「……やれやれ、やっと下がってきたわね、熱」 ふぅ、とため息をつきながら体温計しまうルリ姉の側で僕は…… 濡れタオルを額に乗せてベッドの上にひっくり返っていた。 |
![]() | ……そう。日本中で(もしかしたら世界中で)恋人同士が愛を分かち合うクリスマスイヴの夜なのに、僕は不覚にも数日前からひいてしまった風邪のせいで寝込んでたんだ。 「もうほとんど平熱って感じだけど、大事をとって寝てなさい。治りかけが肝心なんだから」 もう一度ルリ姉は大きなため息をついた。 「しかしねぇ、何でよりによってイヴの夜に寝込んでるかな? あんたは」 「……もう言わないでよ」 せっかくのクリスマスイヴなのに、ずっと楽しみにしてたのに……一番がっかりしてるのは他の誰ならぬ僕に違いないんだから。 「僕なら大丈夫だから、ルリ姉はどっかあそびに行ってよ。……パーティとかコンパのお誘い、色々あったんだろ?」 「あのねぇ……」 ふぅ、とルリ姉は3度目のため息をついた。 「風邪で寝込んでるあんたを放っといて遊びに行けるわけないでしょ?」 「え?」 思わず濡れタオルをずらして目を向ける。 「大事なあんたに早くよくなってもらわないと、わたしホントに困るんだから」 「……ルリ姉……」 ルリ姉の言葉に思わず涙腺がゆるみそうになる僕…… 「だって、あんたがいないと洗濯物が溜まってくるしぃ〜部屋は埃っぽくなってくるしぃ〜ご飯だって外食ばっかじゃお金かかってしょーがないしぃ〜」 「……ルリ姉〜〜」 ルリ姉の言葉に(別の意味で)涙腺がゆるみそうになる僕…… 「そーですか、『大事』って、そっちの意味でですか」 「ばかね。ジョーダンよジョーダン♪」 いいえお姉さま、過去の経験上僕には判ってます。そのお言葉が限りなく本音に近いって事を。 「……それにあんた以外の誰かとイヴを一緒に過ごす気なんかなかったし」 「え?」 「あ、そーだ」 何かを思いついたようにポンと手を合わせると、ルリ姉はすたすたと部屋を出ていってしまった。一瞬耳をかすめた言葉を僕が問いただす前に。 |
(『僕以外とイヴを過ごす気なんて無い』?) まさか、ルリ姉は色々あったイヴのお誘いを、ホントに僕のために全部断って……? と、風邪以外の原因で熱が上がってきそうなことを考えていると、ルリ姉が部屋に戻ってきた。右手にポット、左手に洗面器(+タオル)を携えながら。 「なに、それ?」 「身体拭いたげんのよ。ここんところお風呂入ってないでしょ?」 「え、いいよそんなの。めんどくさいだろ」 「いいからいいから。せっかくのイヴなんだからせめて身体ぐらいきれいにしとかないと」 とか言いながらルリ姉はリモコンでピピピとエアコンの温度を上げていく。 「ホレホレ、パジャマ早く脱いで」 「早く、って……もう脱がせてるじゃないかぁ!」 あっという間に上半身を裸にされてしまう僕。 「部屋暖めたから、さむくないでしょ」 ルリ姉は洗面器に張ったお湯に浸したタオルを絞るとベッドの側に立って、身体を折るようにして僕の肌を拭い始めた。 |
ハァ、とわざとらしく吐息をつくと、ルリ姉は拭っていたタオルを広げて……僕のペニスの先っちょを包み込むようにして宛った。 「いいわよ。受けたげるから、出してスッキリしちゃいなさい」 「ご、ごめん……ルリ姉……っ!」 ガマンの限界がはじけたのは、その直後だった。 びくん!とペニスが大きくしゃくり上げ、根元から一気に熱いものがこみ上げてきて……。 |
「………………………」 ヒクヒクいう痙攣が終わってから、ルリ姉は僕のペニスの先っちょに宛っていたタオルを外した。 そしてそのタオルを広げて中身を見ていた。まるでどれだけ出たのかを確かめるみたいに。 (ううっ……何か気まずい) 興奮が過ぎ去ると、後悔にも似た気分が押し寄せてきた。ルリ姉は病気の僕を看病していてくれてたっていうのに、病人のはずの僕がそのお世話に興奮して、しまいには…… 「まだおっきいままじゃない。こんなに出しちゃったのに…… そんなにやらしい気分になっちゃったの?」 ルリ姉の声にハッとして目をやると、たしかに僕のペニスはまだピンピンのままだった。……そんなに僕って『溜まって』たんだろうか? 「…………………………あう」 ますます気まずいよ……と焦る僕を見ながら、無言のままスッとルリ姉が立ち上がった。どことなく、目が据わってるような気がする。 「は、はは……」 これは久々に厳しいお仕置きが待ってるかも。そう覚悟を決めかけていたときだった。 「へ?」 ルリ姉が予想もしていなかった行動を始めたのは。 |
(……あれ?) ルリ姉の頬が、熱に浮かされたように赤い。息も熱く少し荒い感じ。そして、腰がもどかしげにモゾモゾしている。 「……あの、もしかしてルリ姉」 恐る恐る尋ねる僕の声に、ルリ姉の動きが止まる。 「自分もエロい気分になっちゃった……ってことなの?」 「う、うるさいっ!」 ぷい、とそっぽを向いたルリ姉の頬が見る見る赤く染まっていく。 「あんたがエロい気分になるから、わたしにもうつっちゃったのよ!」 (あ、あのねぇ……) 僕の今までの緊張や葛藤は何だったんだ。したくなったっていうならしようって素直に言えばいいのに……って、それを口にするような人じゃないか、ルリ姉は。 そんなことを僕が思っているうちにも、ルリ姉は僕のペニスを手のひらで掴んでアソコの入り口に宛っていた。ルリ姉のアソコを濡らしている液が、ぽた、ぽたとペニスの先っちょに滴り落ちてくる。熱くて、ねっとりした感触がペニスを伝い落ちていく。 (ルリ姉、すっごい興奮してる……) 僕のペニスをいじったり、射精するとこを見ていてそうなっちゃったんだろうか。そう思うとなんかいやらしくて、ゾクゾクしてしまう。 「…………………んっ!」 そしてルリ姉は無言のまま一気に腰を僕の身体の上に落とし、じゅぶり、と粘っこい音を立てて僕のペニスを一気にアソコの中に飲み込んでしまった。 |
そして、その翌日。 「38度2分……昨日より上がっちゃってるじゃない」 「…………………………」 |
僕は相変わらず、というか当然の結果として? せっかく治りかけていた風邪をぶりかえらせて寝込み続けるハメになっていた。……イっちゃう寸前僕の身体の中を吹き荒れていた熱の嵐は興奮が原因じゃなかったらしい。リアル熱だったんだ(涙)。 「………………誰のせいなんですか」 ぶつくさ呟く声が我ながら情けない。 「っていうか、何でルリ姉は元気なままなんだよぉ〜! ふつーこういう場合、ルリ姉に風邪がうつっちゃって、今度は僕が看病する……ってオチになるんじゃないのぉ?」 「ばかねー、言ったじゃない」 ふふん、とルリ姉が鼻で笑う。 「あんたのへなちょこ風邪なんかうつるわけない、って」 「なんか不公平だよ……」 情けなくて涙が出そうになる。 「まぁまぁ……確かにちょっと、今回はわたしも悪かったわ」 「ちょっとじゃないと思うんですけど」 「だからぁ、またこうやって看病したげてるんじゃない」 苦笑いしながらルリ姉は僕の額の濡れタオルを外して、おでこに手のひらを当てた。 「今度こそ、ちゃんとあんたがよくなってくれるまで、面倒見てあげるからね、雄太」 「ルリ姉……」 「マジそろそろあんたに元気になってもらわないと、年末の大そうじも大変だしねー」 「ルリ姉〜〜〜〜〜」 あはははは、と明るく笑いながら、冷たい濡れタオルを額に当て直してくれるルリ姉。ホントに、どこまでが本気でどこからが冗談なんだか。 でも、わがままで、マイペースで、いつでも僕を振り回して……こんなルリ姉とずっと一緒にいられたらいいな……と思ってしまう。 |
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